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透明な容器の中に、
ユリの花が咲いている。

触れたらそのまま溶けそうな、
淡く儚いユリの花。

いつからかボクはこの場所で、
ユリの花を見守っている。
観ていることでこの花は、
生きながらえているからだ。


そうしてボクも、年老いた。

ついに花の目の前で、
ボクの命は尽き果てる。

ボクはいつでもユリを観てきた。
いつまでも花を見ていたかった。

そんな願いもすでに儚く、
ボクは地面に伏し落ちた。


生きながらえたユリの花、
ボクの命が尽きた後、
やがて地面にしおれ落つ。


そこにホロリと、一粒の種。


種は芽吹いて肉となり。
ボクは再び生まれ出る。

地の中深く球根より、
ユリも芽吹いて花開き。

また、穏やかに儚げに。
ユリとボクとは息をする。

静かな時間が動き出し、
世界は常を取り戻す。
その他
公開:18/09/07 01:46
更新:18/09/07 03:40

やまのまや( 東京 )

目を留めていただいて、ありがとうございます(^^)

さぁさ! もの語りをはじめよう

400文字の小箱の奥に
ぎゅっと詰まった言の葉と

明けた途端にポンと広がり
はらり舞い散るヒトハシのムゲン

垣間見えるは神か悪魔か
ひと筆つづりて 心留め置き
今日も今日とて 世界を創る

さぁさ! もの語りが始まるよ!

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