『思うツボ』

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我輩は哲学者である。
人間がより理知的に、崇高に生きていくための思想を日夜考え、人々に広めていくことを生業としている。
そんな我輩の前にある日一つの壺が現れた。
壺は自らを”思う壺”と名乗った。
我輩は歓喜した。この壺こそ哲学界における賢者の石とも言われるものだからだ。
かのソクラテスも、プラトンも、ニーチェもその傍らにはこの思う壺を携えていたという。
思う壺は人間より一層高い次元から日夜思索を続け、人間に新しい知性の平野を切り開く助言を与えてくれる存在なのだ。
しかし、この壺、時に物騒なことを言う。
「人間はもうなにも考える必要はない」とか、「人間は私の操り人形であれば良いのだ」とか。
我輩はこの考えを全人類に伝えてよいものか迷っている。どうも思うツボにはまっているような気がしてならないのだ。
まあ、いいか。難しいことは全部壺が考えてくれる。
ホラー
公開:18/11/22 20:49

ひょろ( twitterが主。あとは「月の音色」の月の文学館コーナー )

短いものしか書けない系ものかき趣味人
江坂遊先生の「短い夜の出来事」(講談社文庫)に入っているハイパーショートショートに触発されて、短い小説を書いている。
原稿用紙5枚→3枚→半分(200字)→140字(twitter小説)と着々と縮み中w。
月の音色リスナー

目にも止まらぬ遅筆を見よ!

twitterアカウント:hyoro4779

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