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岩陰にぽつりと泡を吐く。
下流で、人が、金魚に化した。いや逆か。金魚が人になり元に戻ったその音が、ぱしゃんとここまで響いてきた。
同じく人の嘆きの音が、ぱたぱたと、ぽとぽとと。
水族が、人に化生するのは珍しい。
サンショウウオは、泡を吐く。
水の箱から自由になれたなら、好きに泳げばいいだろう。
下流から、ぱしゃりと答えが返る。
帰る、帰る、帰りたい。
人の多様な言葉を得たはずなのに、金魚の願いはただ一つ。
生まれて。
食って。
食われて。
死んで。
生死の営み以上の何かを知るなど、人の世に触れるのも考えものだと、サンショウウオはぼやきの泡を吐く。
ともあれ。我は神使である。
鴨川の守りを得たものを、水神様の加護下で見捨てるなど職務怠慢である。
涙の傍へと連なり続く水の一束を掴み、ここだここだとあぶくを流す。
水面の天の赤色を、いつか揃って観られるように。
下流で、人が、金魚に化した。いや逆か。金魚が人になり元に戻ったその音が、ぱしゃんとここまで響いてきた。
同じく人の嘆きの音が、ぱたぱたと、ぽとぽとと。
水族が、人に化生するのは珍しい。
サンショウウオは、泡を吐く。
水の箱から自由になれたなら、好きに泳げばいいだろう。
下流から、ぱしゃりと答えが返る。
帰る、帰る、帰りたい。
人の多様な言葉を得たはずなのに、金魚の願いはただ一つ。
生まれて。
食って。
食われて。
死んで。
生死の営み以上の何かを知るなど、人の世に触れるのも考えものだと、サンショウウオはぼやきの泡を吐く。
ともあれ。我は神使である。
鴨川の守りを得たものを、水神様の加護下で見捨てるなど職務怠慢である。
涙の傍へと連なり続く水の一束を掴み、ここだここだとあぶくを流す。
水面の天の赤色を、いつか揃って観られるように。
ファンタジー
公開:18/11/18 10:53
幻想、怪談、時代物。その他諸々、わりと節操なしに書き散らす(自称)小説屋、やぐち・さとりです。
プチコン花に「花水」が選出。
プチコン海に「真珠」が選出。
プチコン七夕に「烏合の橋」が選出。
名作絵画SSコンテストに「カウンセラー」が文春編集部賞選出。
働きたい会社 ショートショートコンテストに「オフィスカフェ」が選出。
ショートショートは400文字きっちり縛り。
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