『特別な一皿』

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料理人として師匠に弟子入りして10年。師匠からはいろんな皿を貰ってきた。
最初に出された皿は、皿の上に次の字が乗った"盗"だった。
師匠の技は目で盗んで覚えろというとだ。
ようやく見習いを脱した頃に渡された皿は皿の上に"成"が乗って"盛"だった。料理は味だけでなく見た目にもこだわれという意味だと師匠は言った。
師匠と肩を並べるころにもらった皿は丁寧の"寧"だった。元々この字の真ん中は皿と書いたらしい。心を込めた丁寧な仕事をしろと言う教えだった。
そして今日がいよいよ免許皆伝の日。師匠は特別な一皿を出してくるはずだ。それがなんなのか、ボクはドキドキしている。
果たして師匠の出してきた皿は印鑑の鑑、"鑑(かがみ)"であった。これからは自らを鑑み、自らを師匠とせよと言うことか。
しかしおや?もう一枚小さな皿がある。
それは利益の"益"だった。
そうか、料理人も一商売人であるということか。
その他
公開:18/11/07 19:26

ひょろ( twitterが主。あとは「月の音色」の月の文学館コーナー )

短いものしか書けない系ものかき趣味人
江坂遊先生の「短い夜の出来事」(講談社文庫)に入っているハイパーショートショートに触発されて、短い小説を書いている。
原稿用紙5枚→3枚→半分(200字)→140字(twitter小説)と着々と縮み中w。
月の音色リスナー

目にも止まらぬ遅筆を見よ!

twitterアカウント:hyoro4779

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