『かまいたち』

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街道わきの茂みからぬっとあらわれたのは隻眼の老侍。
「見つけたぞ。お主だな、鎌鼬なる外法の術を使う剣客とは」
「如何にも、秘剣かまいたちは拙者の技」
答えたのは何処か陰のある若侍。
「ならば話は早い、勝負じゃ」
「そのために遥々越後まで。して、その犬は」
「お主が外法を破るためのものよ。こやつの一睨みでお主の鎌鼬は尻尾を巻くじゃろう」
「それは、どうでござろうか」
若侍がすっと刀を構える。瞬間、二人に間に旋風が巻いた。
斬!
一拍遅れて斬撃音。老侍の四肢から血が噴く。犬の首が転がり落ちる。
「何、外法が破れなかったと」
「秘剣かまいたちは外法などではござらん。ここ越後では"い"は"え"に、"え"は"い"に転訛する。すなわち”かまいたち”は"構え太刀”。刀を構えた瞬間に神速の斬撃を打ち込む技でござる。構えを見た瞬間、お主の命は決まっていた」
若侍が刀を鞘に納める。老侍の首がゴロリと落ちた。
その他
公開:18/11/04 21:51
百鬼夜行シリーズ 妖怪

ひょろ( twitterが主。あとは「月の音色」の月の文学館コーナー )

短いものしか書けない系ものかき趣味人
江坂遊先生の「短い夜の出来事」(講談社文庫)に入っているハイパーショートショートに触発されて、短い小説を書いている。
原稿用紙5枚→3枚→半分(200字)→140字(twitter小説)と着々と縮み中w。
月の音色リスナー

目にも止まらぬ遅筆を見よ!

twitterアカウント:hyoro4779

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