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梯子は地面から社屋の最上階まで届いている。「後は任せろ」課長が俺に言い、課の皆も頷く。「はい!」俺は彼らに支えられた梯子に手を掛けて一気に登り始めた。天に向け。
中段まで登ると怒声が聞こえ「その梯子、外させてもらうぜ!」黒スーツの一団が課長達に迫っていた。不可部長とその配下だ。梯子を守り課長達が言う。「上を目指す部下を支えるのが上司の務めでしょう」「梯子を外されて落ちる奴はそれまでよ」と返す部長。揉み合いが始まり梯子が揺れたが、俺は構わず先を急ぐ。
先端に登り着く。もう支えは持ちそうになかった。俺は梯子の揺れに身を預けると、社屋の最上階の窓へ跳んだ。
頭から突っ込んだ先は役員会議室。驚く重役連の奥で社長が睨んでいる。俺が駆け寄って懐から出した起案書に、社長は視線を移す。額から流れる血が目に入っても、それを直視した。やがて社長は破顔すると俺の血で社判を押して言った。「頑張れよ」
「はい!!」
その他
公開:18/10/30 04:46

北澤奇実

慌てて書きましたが、七夕祭りに間に合いました!

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