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「先生、原稿まだですか?」
 せっつくように言った時だった。それまでうんうんと唸りながら机に齧り付いていた先生が突然、顔を上げた。そして何を思ったか、こう叫んだ。
「トリックオアトリート!」
 次の瞬間、先生の目が輝き出し、猛烈なスピードで万年筆が走り出した。
「湧いてくる、湧いてくるぞ。素晴らしいアイデアが、どんどん、どんどん!」

 あんなに待った原稿。それから10分もしないうちに完成した。
 帰り際、先生に尋ねる。
「いったい、あの言葉は何だったのです?」
「知らないのかい?今悩み多き人々の間で流行っている合言葉だよ。」
「合言葉?」
「そう。考えがまとまらない時、天に向かって『トリックオアトリート!』と叫ぶんだ。するとイタズラは困る神様がアイデアを降らせてくれるらしい」
 そんな子供騙しな。そう思ったが、先生が原稿をくれたんだからいいかと、深くは考えないことにした。
公開:26/10/04 13:58

さがやま なつき( 鹿児島 )

2021年7月初投稿。お話の主人公は男性(もしくは少年)が多め。女性はキャラ作りが苦手です。(口調が書けない)

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