終わりからの始まり

1
3

その国は、因果が逆転して生まれた理想郷だった。
滅亡から始まる歴史を持っている。

そして、あらゆるものの因果が逆だ。
ものを買うなら、支払う前に品が手に入る。
畑を作ろうとすると、耕す前に作物が生え、種を植える前に実になる。
「やろう」と意思を持つと、先に結果がやってくる。

生き物もまた、老体で生まれる。
自分の望むものを全て持って生まれ、少しずつ若返っていく。
失うものもあれば、得るものもある。

ゴールから始まり、スタート地点を目指す旅路。

一生の最後には、全てを手放して天へと帰る。
必死に守ってきた、大事だと思っていたもの、すべてを。
ゆえに国そのものも、遠い未来、何もない大地となる運命だ。

けれど、だから、人は懸命に生きた。

この地を楽園だという者がいた。
いっぽう、この世の邪悪を煮詰めた世界だという者もいた。

この国の民は、一人残らず、幸せだったと伝えられている。
ファンタジー
公開:26/09/24 11:48

蒼記みなみ( 沖縄県 )

南の島で、ゲームを作ったりお話しを書くのを仕事にしています。
のんびりゆっくり。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容