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 いつからだろう。私の耳ではいつも波の音がしていた。
 ザー、ザー。
 バシャーン、ザザザーン。
 ときに凪ぎ、ときに荒れる波の音。急になぜ?と思ったが、その音はなぜか私を呼んでいる気がした。そんな気がして、ならなかった。
 ある朝のこと。身支度を整えようと鏡を覗いた時だった。目の下の涙袋が、白く濁っていた。
 波だった。
 涙袋は表面に何本もの深い皺を刻み、それがまるで波打ち際の波のようによれていた。
「どうして急に…」
 いつか過った疑問を口にする。単に歳を取ったのだ、というだけでは済まされないことのように思った。
 波音と皺は、比例するように増えていった。
 母なる海、という言葉がある。すべてのものはあの大きく広い海が生んだのだと。
 私もいずれ海に還るのだろうか。そして、私も海となり、誰かの母となるのだろうか。
 波音を聴きながら、そんなことを思った。
公開:26/08/23 19:06

さがやま なつき( 鹿児島 )

2021年7月初投稿。お話の主人公は男性(もしくは少年)が多め。女性はキャラ作りが苦手です。(口調が書けない)

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