置いていく泥棒

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銀行に侵入者があった。
警報で警備員と警官が駆けつけると、犯人は去った後。

不思議なことに何も盗まれてはおらず、代わりに金塊が置かれていた。

捜査が始まった。金塊は盗品でもなく、犯行の理由は不明だった。
迷宮入りがささやかれる中、今度は美術館に侵入された。
また盗まれたものはなく、1億円分の札束が置かれていた。

それからも、盗まない泥棒の犯行は続く。

そして――世の中はおかしくなってきた。

誰もが、出どころ不明の使いきれないほどの大金を持っていた。
真面目に働くものは減り、誰もが与えられることを待つばかりになった。
社会は回らなくなり、荒んでいった。

盗まれたのは人の「良心」だったと判明したのは、国が滅びた後だったという。
ファンタジー
公開:26/04/25 09:48

蒼記みなみ( 沖縄県 )

南の島で、ゲームを作ったりお話しを書くのを仕事にしています。
のんびりゆっくり。

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