巡る日常

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 巨大な球が置いてある。それは公園を埋め尽くしていた。ブランコや滑り台は見当たらない。ただ、球だけがある。

 近付いて触れてみた。しっとりと、湿っている。じっと眺めた。薄い靄に包まれているが、その向こうに茶色と青が斑にある。

 腕を組んで首を傾げた。頷いて、大きく息を吸う。鼻を摘まみ、瞼を閉じて。

 頭を突っ込んだ。

 目を開くと、視界に海が拡がっていた。大きな陸地の隣に、小さな島の連なりが見える。眼を凝らして覗き込む。

 沢山の人が見上げながら指差していた。何か叫んでいる。聞き取ろうと、耳を澄ませて体を乗り出した。

 ──ぱちん。

 残響の中で霧散した。公園にはブランコと滑り台がある。ざわめきが聞こえ、辺りを見回すと沢山の人が集まっていた。皆、空を指さして。

 ゆっくりと視線を辿る。

 音が、鳴った。

 ────ぱちん。




 
 
 

 

 
SF
公開:26/04/13 22:31
更新:26/04/13 23:26
創作 入れ子構造 Show Dont Tell

shige5964

哲学的な掌編を書いています。基本Show Dont Tellです。文章にAIを一切使用していません。画像はAIです。ブログに作品を置いてますので、ご興味があればこちらも是非。
https://baseman0406.blogspot.com/?m=1

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