街の修理屋さん

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「悪いところを取ってくれると聞いたんです」
客の言葉に頷くと、手袋をつけた。頬のほくろをつまんで取り、瓶に入れる。
後ろには、順番待ちの客が並んでいた。

次は「まじめさを取ってほしい」と言われた。
それは悪いところではないと思ったが、熱心に言われ、まじめさをつまんで瓶に入れた。

私は物でも人でも「悪いところ」を見つけ、つまんで取り外せるのだ。

客がひと段落して、私は棚に目をやった。
これまで取り外してきたものが瓶に入って並んでいる。

機械はともかく、人から「悪いところ」を外していいのか。
本当は必要なのに「悪い」と思い込んでいないか?

その時、帰る客の幸せそうな顔を思い出した。

取れたことで、本人は幸せなのだ。それでいいのではないか。
もし、気が変わって戻したいと思ったら、ここに来ればいい。
私は修理屋なのだから。

そう気づいた時、私自身の「悪いもの」も取れたような気がした。
ファンタジー
公開:26/04/03 09:22

蒼記みなみ( 沖縄県 )

南の島で、ゲームを作ったりお話しを書くのを仕事にしています。
のんびりゆっくり。

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