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 お茶にしようと湯に浮かべた桜のひと枝が成長し、立派な樹になった。見る間に成長した桜の樹。見る間に枯れてしまった。すると花筏のように浮かんだ花びらをかき分けて、小さな男の子が現れた。男の子は私を見るとその小さな手を伸ばして言った。
「おいで。いいものを見せてあげる」
 刹那、私は桜の樹の下にいた。隣を見ると、さっきの男の子がいる。ここは、湯呑みの中だ。
「どうだい、きれいだろう?」
 男の子の言葉に、私は頷く。花筏の上、男の子が持つ桜の枝の櫂で湯呑みの川を渡る。
「あなたは誰なの?桜の精?」
 ふと気になって尋ねると、突然、突風が吹いた。目の前が、桜色で染まる。と、桜吹雪があらかた収まったその先に、もう男の子はいなかった。気づいた時、私は居間に戻っていた。桜茶の湯は、うそのように凪いでいた。
 
公開:26/04/05 19:08

さがやま なつき( 鹿児島 )

2021年7月初投稿。お話の主人公は男性(もしくは少年)が多め。女性はキャラ作りが苦手です。(口調が書けない)

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