寄り添う枯葉

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 エレベーターの扉が開く。人がひしめき合う中で、次々と降りる。俯いた男があとに掃き出された。胸を、ぎゅっと握って。

 木枯らしが纏わりつく。舗装された道を踏み締めた。乾いた音が鳴る。粉々に散った枯葉が。

 ゆっくりと歩を進めた。繁華街の喧騒。緋色の空が、染まっていく。静かな黒へ。

 親子とすれ違った。子供が微笑み、返す母親。手提げ袋を両手に抱えて。

 眺めていると、唇が緩んだ。

 前を向き、歩く。足速に。木枯らしはもう、止んだ。玄関前で立ち止まる。

 息を吐いて、ノブを掴んだ。

「ただいま。」

 幼い子供が駆けて来る。勢いよく抱きついて。

「おかえり!」

 笑っていた。娘と共に。

 奥から聞こえる、食器の音。微かに、匂いがした。

 枯葉が舞い、触れる。

 ────欠片に寄り添って。
SF
公開:26/03/30 20:57
創作 日常 癒し

shige5964

哲学的な掌編を書いています。基本Show Dont Tellです。ブログに作品を置いてますので、ご興味があればこちらも是非。
https://baseman0406.blogspot.com/?m=1

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