チャンネル

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 目尻から流れる。頬を伝い、零れて。テーブルの端に水滴が広がる。画面が揺れていた。

 景色が滲む。手を目に伸ばした。濡れた指を服で拭う。晴れた視界に映された、死臭。嗚咽が漏れる。

 着弾のあと、家屋が粉砕された。部屋に届くのは、乾いた音。画面の中で静かに崩れていく。テーブルに置かれたマグカップ。ゆっくりと掴み、珈琲を注いだ。

 両手で包み、持ち上げる。昇る湯気に香りを含んで。息を吹きかけ、唇に触れる。濃い苦味が口内に沁みて。テーブルに戻し、リモコンを掴んだ。

 手を突き出し、親指で何度も押す。画面が次々切り替わる。嗚咽は、もうしていない。指が止まり、口角が緩む。

 明るい声が部屋に響く。
爆笑──目尻に、涙を浮かべて。

 遠くで炎が拡がる。揺らめき、轟音が地を揺るがす。

 ────笑声と重なる。混ざり、溶けて。
SF
公開:26/03/27 19:00
更新:26/03/27 12:37
日常 視点 境界

shige5964

哲学的な掌編を書いています。ブログに作品を置いてますので、ご興味があればこちらも是非。
https://baseman0406.blogspot.com/?m=1

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