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 馴染みの魚屋で、私は頭を下げていた。怪訝な顔のおっちゃんに重ねて言う。「先日、こちらの魚を盗んだのはうちの猫です」
「ああ」
 おっちゃんは声を漏らす。
「あの猫ね。違うよ。あれはウチの魚じゃない。空の魚さ」
「空の魚?」
「そう。ほら昨日、すごい雨だったでしょう?空の海では魚が大暴れさ」
 ほら、雲海、っていうでしょう?と、おっちゃんは言う。けれどいまいちわかっていない私。するとおっちゃんは外に出て、何かを拾った。
「落ちてたよ。ほら」
 見せてくれたのは、薄くて小さなガラス片?何かと聞くと、おっちゃんはこう答えた。
「鱗だよ。雲イワシや鯖イワシの」
 むしろ助かってるんだと、おっちゃんは言う。
「地上での仕入れ状況が悪かった時、猫が魚を恵んでくれるんでね」
 ちなみに雲ひつじを釣った猫はメチャクチャ不機嫌な顔でジンギスカンのお店に通っているということだった。
公開:26/02/25 05:14
イワシ雲 鯖雲 うろこ雲 雲海

さがやま なつき( 鹿児島 )

2021年7月初投稿。お話の主人公は男性(もしくは少年)が多め。女性はキャラ作りが苦手です。(口調が書けない)

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