考える土管

1
3

 ある時、土管は考えた。もっと人を温めたいと。
 土管は最初、工事現場の人々を温めた。中にいろいろな燃えるものを詰められて。
 次に土管は、幼子の風呂となった。孫に好かれたい主の手によるものだった。
 そして土管は屋内にいる「湯船」と友達になり、窓越しに湯船の夢を聞いた。
 本来「船」というものは、世界を旅して回るもの。人を何千、何万と乗せて。
「願わくば、僕も世界を旅してみたいよ」
 湯船がそう言い、その願いはそのまま土管が引き継いだ。湯船は身動きできないからだ。土管ならば、転がっていける。
 そして土管はたどり着いた。海という、どこまでも続く旅路に。
 旅する土管は愛された。ずっと温められていた土管は、冷たい海を温めたのだ。そこは温泉となり、人々を温めた。やがて宿が建ち、町が活気付いた。
 そして土管は、考えた。人々の笑顔が、町を、土管を、温めている。
 さて、次はどこを温めようか。
公開:26/02/19 19:37

さがやま なつき( 鹿児島 )

2021年7月初投稿。お話の主人公は男性(もしくは少年)が多め。女性はキャラ作りが苦手です。(口調が書けない)

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容