前世の記憶

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「ご主人、灯油の残量がわずかです」
ストーブが教えてくれた。

あらゆる物がネットに接続され、AIが内蔵された未来。
モノ自体が説明書兼サポートデスクとなった。
新製品が出たら、買い替えの宣伝まで行うのだ。

それゆえ高価だ。
そこで故障した品を買い取り、修理して売る店が増えてきた。
このストーブも、中古屋で買ったものだ。

ところが夏になって、押し入れのストーブが騒ぎ始めた。
猛暑だからはやく電源を入れろと言っている。

いや、君はストーブだろう。

話しかけると、自分はエアコンだ、冷やせると言って聞かない。

部屋に出してみるが、ストーブが部屋を冷やすなどできない。
ストーブが悩み出して、暑くなってきた。

おそらくエアコンのAIをストーブに使っているのだろう。
記憶をリセットするのを忘れているに違いない。

しかしこの子、エアコンの時もちゃんと冷やせていたのだろうか。
ファンタジー
公開:26/02/14 13:34

蒼記みなみ( 沖縄県 )

南の島で、ゲームを作ったりお話しを書くのを仕事にしています。
のんびりゆっくり。

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