重なる景色

0
1

飛び跳ねて、水溜りを避けた。緋色の雲間から注がれる、暖かい温度。立ち止まり、水面を眺めて。

子供がいた。麦わら帽子を被った、少年。しゃがんで、覗き込む。

同じように、覗き込む。

突風が頭を掠めた。鍔を押し上げ、浮き上がり、回転する。二つ、飛んでいく。目で追いかけ、呟いた。

「君の帽子も、なくなったね。」

語りかけた。僕が、同じように。太陽と水面が、映す。

視線が合う。
瞳の中に、沢山の僕がいた。

──帽子、幾つあるんだろう?

遠くから呼ばれた。近付く足音に、振り返る。

「汚れちゃったね。」

濡れた麦わらを、差し出された。
アスファルトの匂いがする。水と、太陽の匂いが。頭に被せた。私と同時に。

手を繋いで、前を向く。

────二つの影。重なり、伸びて。
SF
公開:26/02/08 08:00
更新:26/02/08 06:22
#鏡 #ノスタルジック #パラレルワールド #水たまり

shige5964

哲学的な掌編を書いています。ブログに作品を置いてますので、ご興味があればこちらも是非。
https://baseman0406.blogspot.com/?m=1

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容