「殺さないよ」から始まる君たちへの懺悔 ー猿編ー
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「殺さぬよ」
わしは言った。その声は弱く、自分でも哀れ極まりないものだった。
(まあ、よかろう。最後くらい、我が身を憐れんでやってもバチは当たるまい)
我が身に言い聞かせ、わしはあらためて若いおまえに目を据えた。
「わしはそなたを殺しはせぬ。見てみい、老いさばらえたこの身を。この身でどうして、そなたを殺すことができようか?そうであろう?」
しかし、我が娘をも貰い受けたいとなれば、話は別じゃ。
「長の座は、いますぐにでも、譲ってよい。しかし、しかし娘は、大事なこの子をもらおう、奪おうとなれば…」
しかしわしは、哀れにむせた。格好悪い。少し力みすぎたようじゃ。
「すまぬの。」
わしは言って、生まれて初めて、頭を下げた。それはまだひよっこにしか見えぬおまえと、またしても嫁ぐ機会を逸した娘と、娘を思う気持ちでしか生きてやる気がない哀れな我が命への謝罪だった。
わしは言った。その声は弱く、自分でも哀れ極まりないものだった。
(まあ、よかろう。最後くらい、我が身を憐れんでやってもバチは当たるまい)
我が身に言い聞かせ、わしはあらためて若いおまえに目を据えた。
「わしはそなたを殺しはせぬ。見てみい、老いさばらえたこの身を。この身でどうして、そなたを殺すことができようか?そうであろう?」
しかし、我が娘をも貰い受けたいとなれば、話は別じゃ。
「長の座は、いますぐにでも、譲ってよい。しかし、しかし娘は、大事なこの子をもらおう、奪おうとなれば…」
しかしわしは、哀れにむせた。格好悪い。少し力みすぎたようじゃ。
「すまぬの。」
わしは言って、生まれて初めて、頭を下げた。それはまだひよっこにしか見えぬおまえと、またしても嫁ぐ機会を逸した娘と、娘を思う気持ちでしか生きてやる気がない哀れな我が命への謝罪だった。
公開:26/02/09 17:07
高村光雲 作 彫刻『老猿』
2021年7月初投稿。お話の主人公は男性(もしくは少年)が多め。女性はキャラ作りが苦手です。(口調が書けない)
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さがやま なつき