選んだ涙

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 瞳が映し、立ち止まる。道路に猫が転がっていた。三色の毛並みは乱れ、皮膚が破れている。地面の黒を濃く滲ませていた。

 頭を振り、視線を外す。

 手提げの先で袋が揺れる。中が擦れ、鈍く響いた。速足で通り過ぎる。真直ぐに、前を見つめて。

────
 ドアに鍵を差し込むと、内側から掻く音がする。微笑みを浮かべ、開いた。三毛が脚に擦り寄り、喉を鳴らした。

 袋に手を入れ、缶を掴む。乱れた毛が腕に触れた。三個取り出し、積み上げる。一つを手に取り、蓋を開けた。

 三毛が皿を覗く。盛りつけると、乾いた鼻先を近付ける。一度舐めて顔を上げ、蹲って目を閉じた。

 そっと頭を撫でる。
 硬い毛を。

 息は細く。
 断続的に。

 視界は滲む。
 輪郭がぼやけ。

 手を伸ばす。
 膝に抱えて。

 見つめたまま。

 ゆっくり、強張っていく。

 ────零れ、鼻先を濡らした。
公開:26/07/17 19:00
更新:26/07/23 15:04
創作 詩的掌編 選別 Show dont tell

shige5964

哲学的な掌編を書いています。基本Show Dont Tellです。文章にAIを一切使用していません。画像はAIです。ブログに作品を置いてますので、ご興味があればこちらも是非。
https://baseman0406.blogspot.com/?m=1

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