不安バンク

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会社に行く途中、スーツ姿の男が話しかけてきた。

「私共は、皆さまの不安を預からせていただいています」

とある銀行の行員だと名乗った。
その銀行では不安を運用し、利益をあげているという。
無視するつもりだったが、つい最後まで聞いてしまい、不安を預けることにした。
銀行に行って口座を作り、通帳を受けとった。

翌朝、いつになく爽快に目覚めた。
不安を預けた効果が出たようだ。

それからは、不安が生まれるたびに預け入れをした。
話の通り、お金で利子が振り込まれるのも助かった。
やがてコンビニにATMが置かれ、ネットバンクもできた。

不安の運用にも慣れてきたある日、銀行が破たんしたというニュースが飛び込んできた。
驚いたけれど、不安はなかった。
預けた不安がきれいさっぱり消えたことで、安心が増したのだった。
ファンタジー
公開:26/07/12 09:49

蒼記みなみ( 沖縄県 )

南の島で、ゲームを作ったりお話しを書くのを仕事にしています。
のんびりゆっくり。

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