お静かに願います

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山奥の小さな村は、静寂の村だった。
古来より、どこからか「お静かに願います」と声がするためだ。

その謎を解こうと考古学者が村を訪れた。
村人に話を聞き、古文書を紐解いていく。

江戸時代。
海辺の村から働きに来た、お静という娘がいた。

当時の村長が病に倒れると、お静は故郷の名産であるカニを持ってきてふるまった。
山村では見ない料理を、村長はいたく気に入った。
ある朝、朝食を作ったお静は、眠るように亡くなっていた村長を見つけた。

考古学者はあることに気づき、街へと向かった。
数日後に村へ戻ると、村長の墓にカニ料理をそなえた。
天に向かって光が伸び、声が聞こえた。

お静かに願います。

お静、カニ、願います。

村長が願っていたのは、静寂ではなかった。
最後の朝食が食べられなかったことが、心残りだったのだ。

以来この村ではお盆の時期に、カニをお供えするのが慣わしとなったそうな。
ファンタジー
公開:26/06/14 18:18

蒼記みなみ( 沖縄県 )

南の島で、ゲームを作ったりお話しを書くのを仕事にしています。
のんびりゆっくり。

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