零れたのは

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 ちゃぶ台の前で膝を折り、畳に脛を置いた。背筋を伸ばし、卓上の茶碗を見つめて。急須に手を伸ばし、注いでいく。

 蒸気が、視界を遮る。
 
 満たされた器に指先で触れ、直ぐに引いた。色褪せた布を巻いて両手で掴む。ゆっくりと持ち上げて、息を吹き付ける。木目に残した滴りが円を繋ぐ。それを眺め、啜った。

 口に含み、転がし、喉を鳴らす。
 縁から溢れた雫が甲を滑り、指が開いた。

 落下する。

 透き通る緑。
 宙に拡がり──うねる。
 
 茶碗の周囲を廻り続けて。

 重く音を沈めた。
 畳に沁みる、苦みを噛む。

 天井を見上げ、息を吐いた。

 ────褪せた橙が、染みを擦る。
その他
公開:26/06/12 18:35
更新:26/06/12 19:45
創作 詩的掌編 言葉の意味

shige5964

哲学的な掌編を書いています。基本Show Dont Tellです。文章にAIを一切使用していません。画像はAIです。ブログに作品を置いてますので、ご興味があればこちらも是非。
https://baseman0406.blogspot.com/?m=1

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