6
3

 解雇されて突然の長期休暇をもらったおれは、毎日暇を持て余していた。
「暇ならこれでも潰してろ」
 そう言って親父に渡されたのは緩衝材、いわゆる『ぷちぷち』だ。
「こんなの潰してたら、いかにも暇人じゃん」
 その反発が甘えなのはわかっていたが、つい言い返してしまう。そんなおれに親父は言う。
「いいから、潰してみろ。すっきりするし、面白いことが起きるぞ」
「面白いこと?」
 意味深な言葉が気になり、ぷちぷちをぷちぷち潰していく。不思議にこれ、無心になる。
 やがて、遠くで電話が鳴り、親父はおれのそばを立った。

「行ってきます!」
 翌日から、おれはまたスーツが普段着のビジネスマンになった。それを不思議に思う暇もないくらい、今は忙しい日々を送っている。
公開:26/05/29 09:15

さがやま なつき( 鹿児島 )

2021年7月初投稿。お話の主人公は男性(もしくは少年)が多め。女性はキャラ作りが苦手です。(口調が書けない)

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容