深き森の奥に

『向こうに蜜の詰まった林檎がなってるよ』
少年はそう言うと一気に走り出す

深き森の奥にある農家のお話し

その森では四季を通じて色々な果実を採る事が出来る
『また来年美味しい林檎を頼むね』
少年は木々と話しが、声が聞こえると言う
なので木々から話を聞いていつも美味しい果実を見付けてくる

父が行商から帰って来ると街で聞いた噂話を話し出した
『何でも世の中には金の成る木があるらしいぞ』
少年はモゾモゾして『ふ～ん』と家を出る
木々との約束で金の成る木の事は人に話してはいけない事になっているのだ
しかし何かを感じた父は木を切り倒して行く
『これも違う、金の成る木は切るとその切株からも金が取れるんだと、お前が知ってればこんな事しなくて済むのにな』

悩んだ少年は深き森の奥に身を投じ自害してしまう
息子を亡くし、果物も売れず父はただ後悔しかなかった

今では深き森の奥に１軒の家だけが佇んでいる