炭酸JAZZ

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ワレとヌシは暗黒星雲から巨大な氷をステーションに持ち帰ると、コンテナごと分析器にかけた。『純粋な炭酸』炭酸が凍結する時に、氷の核が電波を受信して、その電波エネルギーを核に保持している事が解った。
ワレとヌシはコンテナを開けてみる事にした。開くと中の氷はバランスを失って気体と液体に分離を始めた。
するとワレとヌシは氷の核の中から奇妙な波動を感じた。それは既に退化した筈の器官を刺激した。
『これは【音】か』ワレは刺激がユニオムに達するのを感じた。最初はワレにエラーが発生したかと疑ったが、正常だった。ワレのユニオムはこれまでの全類のデータに無い状態へ移行した。刺激はワレの個のユニオムの深きに沈降し、未知だった種の系統樹を遡った。いつしか音によってワレは視覚器から分泌液を流していた。ワレは白い気体に包まれ震えた。
「大丈夫か」ヌシが声を掛けた。
「問題は無い」ワレは答えた。「煙が目にしみただけだ」
SF
公開:18/06/26 02:49
更新:18/06/27 02:48
ワレ=総体的で相対的な一人称 ヌシ=総体的で相対的な二人称 ユニオム=統合されたワレ達の心 全類=ワレ達の全種族類のこと 煙が目にしみる=1933年の曲 炭酸=H2CO3 系統樹=生物の進化の枝別れの図 暗黒星雲=星間ガスが濃い領域 視覚器=我々人類にとっての目 白い気体=気化二酸化炭素

北澤奇実

慌てて書きましたが、七夕祭りに間に合いました!

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