幸福な街

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ステッキを持った老紳士が、僕の街にやってきた。

コツ、コツと優雅な足音を響かせて、
ステッキをリズミカルに付きながら、
道ゆく人の注目を集めている。

その老紳士が、僕の前で足を留めた。

ステッキをすっと差し出して、
胸のあたりでピタッと止めた。

トンっ…と軽く小突かれると、
ボワァっと、胸から光の玉が飛び出した。

「な、な!」

老紳士は、にっこり笑って
その光に息を3回吹きかける。

すると…何とも言えない幸福感で包まれて。
僕はそのままホネヌキになってしまった。

それを見た老紳士は、
ステッキをまたトンっとボクの胸に当て、
光を体の中に戻した。

一部始終を見ていた街の人は、
この幸福感にあやかろうと、
列をなして老紳士の元へやってきた。

いつしか街は、幸福感で一杯になった。
誰もが笑顔で、争いごとなんて起こらない。


だから街が侵略されても。
笑顔で全面降伏したんだ。
ホラー
公開:18/09/01 17:52

やまのまや( 東京 )

目を留めていただいて、ありがとうございます(^^)

さぁさ! もの語りをはじめよう

400文字の小箱の奥に
ぎゅっと詰まった言の葉と

明けた途端にポンと広がり
はらり舞い散るヒトハシのムゲン

垣間見えるは神か悪魔か
ひと筆つづりて 心留め置き
今日も今日とて 世界を創る

さぁさ! もの語りが始まるよ!

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