『宇宙(そら)の話』

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2133年8月3日、人類最後のロケット、"乾坤一擲号"は無事宇宙へと飛び立った。
このロケットが人類最後となったのは地球の衛星軌道が既にスペースデブリで覆いつくされているからだ。
現状でデブリを避けながらロケットを飛ばすのは絶望的。いくつもの針の穴に糸を通し続けるようなもの。
その最後のチャンスが今日だったのだ。
かつて宇宙開発で覇を競った大国はそのあまりの難易度にもはや手を引いている。
しかし、我々世界中の物好きロケット野郎どもは下町の工場を駆けずり回りロケットを創り上げた。
ロケットにはデブリに覆われた地球を図入りで説明したボードを詰めた。
どこかの知的生命体がそれを見つけることを祈って。
その生命体は地球を救いに来るかもしれない。浅はかな技術で自ら宇宙へ出る道を断った人類を笑うかもしれない。
それでもいいのだ。このロケットには、確かに人類が宇宙を目指したという証が載っているのだから。
SF
公開:18/08/30 22:26

ひょろ( twitterが主。あとは「月の音色」の月の文学館コーナー )

短いものしか書けない系ものかき趣味人
江坂遊先生の「短い夜の出来事」(講談社文庫)に入っているハイパーショートショートに触発されて、短い小説を書いている。
原稿用紙5枚→3枚→半分(200字)→140字(twitter小説)と着々と縮み中w。
月の音色リスナー

目にも止まらぬ遅筆を見よ!

twitterアカウント:hyoro4779

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