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最初それは森の果てにある農家に見えた。だが近寄った我々は唖然とした。発見したのは農家ではない別の何かであった。
木立の先の外壁は、天へ横へ無限に伸びている。我々は果てしなく続く壁の一部を見て、そこに農家があると思っただけなのだ。壁に窓があったが石で叩いても無傷だ。向日葵と芥子が咲いている。だが扉は見当たらない。
我々は扉を求めて移動を開始した。外壁を左手に花の咲く野を進む。腰掛で休み、薪で夜を渡る。不思議に心が躍った。誰が何の為に作ったか解らない果てのない光景が続く。色彩が巡る。
五日後、遂に我々は外壁の先に扉を認めた。私は唾を飲んで開いた。
また愕然とする。扉の内、外壁から三米程の空間の奥に、外と同じ蒼い壁が上に横にただ広がっていた。無数の窓と向日葵が見える。
躊躇なく私は扉の中へ足を踏み入れた。食糧は乏しいが皆目を輝かせている。既に我々は渇望しているのだ、この農家に見える何かの果てを。
その他
公開:18/08/31 01:52

北澤奇実

締切3分前に「やったー!書けたー!!」って思ったら、なぜか改行を含めて500文字ぴったりで、自分のやってる事に驚きました。

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