ビキニの子のニキビ ~ ふたつめ

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ハワイで生まれ育った私は、
じいちゃんからよくその話を聞いていた。

「こう、ハラに響く低い音がしたんじゃ。」
私は、何も知らずに育っている。

「あの海は本当に豊かでな。
ワシらは米軍の奴らに追い出されてしまってな。
住む場所も、食べるものも不自由なまま、ようやくここに落ち着いたんじゃよ。」

大好きだったじいちゃんは、少し前に亡くなってしまったから。
私はじいちゃんが生まれた海を見ようと思った。

ダイビングスポットで有名なビキニ環礁。

かつて核実験が行われていたとは思えない美しい海に潜り、
じいちゃんの形見のペンダントを、そっとサンゴにかけた。
(よかったね、じいちゃん…)

ひとしずくの涙を流すと、
美しい熱帯魚がすぅっとやってきて、
私の頰にツンッとキスした。
次の日、そこには小さなニキビができた。

そのニキビは、毎年じいちゃんの命日になると、
どこか嬉しそうにやってくる。
その他
公開:18/08/24 11:50

やまのまや( 東京 )

目を留めていただいて、ありがとうございます(^^)

さぁさ! もの語りをはじめよう

400文字の小箱の奥に
ぎゅっと詰まった言の葉と

明けた途端にポンと広がり
はらり舞い散るヒトハシのムゲン

垣間見えるは神か悪魔か
ひと筆つづりて 心留め置き
今日も今日とて 世界を創る

さぁさ! もの語りが始まるよ!

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