マリと蛙 ~ 太陽物語

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「いけない!」

手から転がり落ちた小さなマリは、
草むらの坂を横切って、
深い池の底へ、ぽちゃりと落ちてゆきました。

私はマリが惜しくて惜しくて、
水面をずーっと眺めていると。

水面から蛙が出てきて
「カエルかい? カエソウかい?」
と哭くのです。

「ねぇ、蛙さん。
マリを取ってくれないかしら?」
と尋ねてみますが、

蛙の方は
「カエルかい? カエソウかい?」
としか哭きません。

むっとした私は、
「もういい! 帰る!」
と叫ぶと。

体がすぅっと茶色に変わって、
すっかり蛙になっていました。

マリもないし、蛙になるし、
本当に悲しくなってそこにいると
「カエルかい? カエソウかい?」
と、やっぱり蛙たちが哭くのです。

私も半ばヤケになって
「どうかカエシテ…」
と哭いた瞬間、
ぽんっ!と体が元に戻って、手にはマリがありました。

短気は損気。
話はちゃんと聞くものですよ。
ファンタジー
公開:18/08/21 02:00
更新:19/07/03 01:02
#太陽物語

やまのまや( 東京 )

目を留めていただいて、ありがとうございます(^^)

さぁさ! もの語りをはじめよう

400文字の小箱の奥に
ぎゅっと詰まった言の葉と

明けた途端にポンと広がり
はらり舞い散るヒトハシのムゲン

垣間見えるは神か悪魔か
ひと筆つづりて 心留め置き
今日も今日とて 世界を創る

さぁさ! もの語りが始まるよ!

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