カイダン ~ 四ッ谷

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大学時代、
怪談で有名なこの町にボクは住んでいて、
2つ年上の黒髪美人と付き合っていた。

そんな夏のある夕方。

アパートの階段を昇る音がして、
廊下を誰かが歩いて行った。
和服姿で下駄履きのようだ。

通り過ぎて、戻ってきて、
ウチの前でピタッと留まった。
平日のこの時間、彼女はまだ仕事中のはず。

怖いボクは息をひそめて
台所のフライパンを握りしめた。

扉をノックした後、
開けようとがちゃがちゃしている。


カチリ…



ギィ~っと、扉が開く…




ボクはフライパンを思いっきり振り下ろした!


ガーン!

「いったぁあ~い!」

うずくまるのは、浴衣姿の愛しの彼女。

「なにするのよぅ!」
「や、これは、あの…」

弁解の余地もなく、
彼女は頭にコブを作り、僕はひたすら平謝り。


でもこの後のこと。
二人して大人の階段を上がっちゃったのも、
また快談なのかもしれないな。
青春
公開:18/08/21 00:57
更新:18/08/31 16:25
#メトロ丸ノ内線

やまのまや( 東京 )

目を留めていただいて、ありがとうございます(^^)

さぁさ! もの語りをはじめよう

400文字の小箱の奥に
ぎゅっと詰まった言の葉と

明けた途端にポンと広がり
はらり舞い散るヒトハシのムゲン

垣間見えるは神か悪魔か
ひと筆つづりて 心留め置き
今日も今日とて 世界を創る

さぁさ! もの語りが始まるよ!

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