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ボクはご主人様が大好き。

ご主人様が笑うと、ボクも嬉しい。
寂しそうだと、ボクは悲しい。

ある日ご主人様は、
大きな背嚢を背負って、
ボクを置いて行ってしまった。

「シロ。
私が戻るまで、
うちの事を頼んだよ。」

ボクは一人で寂しかったけど、
ご主人様をおうちで待った。

1年経って、2年経って。
3年経って、4年経って。

気がつけば、
もう10年以上も経っていた。

ボクはというと、
目も耳も効かなくなって。
かすかに鼻だけ、匂っていたんだ。

だから
ご主人様が帰ってきたの、
ボクはすぐにわかったんだ。

あの懐かしい優しい匂いに、
まっしぐらに駆けていった。

「シロ、迎えに来たよ…」
ボクは、その胸に飛び込んだ。。。

盂蘭盆の提灯の下。
ボクはご主人様と旅に出た。

「シロも、逝ってしまったのね。」
「でもごらん?
とても幸せそうに笑っているよ。」
ファンタジー
公開:18/08/14 11:34
更新:18/08/23 08:42

やまのまや( 東京 )

目を留めていただいて、ありがとうございます(^^)

さぁさ! もの語りをはじめよう

400文字の小箱の奥に
ぎゅっと詰まった言の葉と

明けた途端にポンと広がり
はらり舞い散るヒトハシのムゲン

垣間見えるは神か悪魔か
ひと筆つづりて 心留め置き
今日も今日とて 世界を創る

さぁさ! もの語りが始まるよ!

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