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とある昼のオヤツ時。
ボクは炭火で、餅を焼いた。

白い餅が、
おいしそうに焦げ目をつけて、
ぷっくりぷっくり膨らんだ。

膨らみ、膨らみ、膨らんで、
パチンと。。。はじけないで膨らんだ。


そのうち餅は、
部屋の中を占領し、

窓から溢れて、
道路を横切り、

公園通りのケヤキを倒し、

授業中の学校までも、
巻き込みながら、膨らんだ。

自衛隊まで出動して、
バリケードで包囲したけど
意味はなかった。

戦車も、空母も、戦場までも、
餅は優しく、巻き込んでいく。

餅はどんどん膨らんで、
海を渡って中国へ。

インド、フランス、グリーンランド、
アフリカ、ブラジル、オーストラリア。

膨らみ、巻き込み、包み込む。

僕のオヤツは世界を巻き込み、
白い優しい世界になった。

そこで慌てて、火を止めた。
餅はしぼんで小さくなった。

世界で戦火が途絶えた日。
餅が包んだ、小さな奇跡。
その他
公開:18/08/08 00:22

やまのまや( 東京 )

目を留めていただいて、ありがとうございます(^^)

さぁさ! もの語りをはじめよう

400文字の小箱の奥に
ぎゅっと詰まった言の葉と

明けた途端にポンと広がり
はらり舞い散るヒトハシのムゲン

垣間見えるは神か悪魔か
ひと筆つづりて 心留め置き
今日も今日とて 世界を創る

さぁさ! もの語りが始まるよ!

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