月まで遠い

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東京で暮らす僕は岐阜で暮らす君に電話をかけていた。
「今何してんの?」
「え、今?バイトの帰り道」
「え、俺も」
僕らは場所は違えど帰り道だった
「今日月綺麗じゃない?」
「え、告白?」
「違うよー普通にー」
「なんやねん、綺麗やねー」
と君が月を見ているらしいから僕も月を見上げる。
ベタな表現だけど僕らは今同じ月を見ている。
僕の現在地と月と君の現在地を線で結んで三角形を作る。
僕はなぜか君に会いに行くには月を経由しなくてはいけない気がした。
それくらい君までの距離を遠く感じていた。

(同じものを見ているのに、いや、むしろ同じものを見ているから)

「暑いね今日も」
「おっ、倒置法やん」
「暑さを強調しました」
「なるほどね」
と僕らはどうでもいい会話をだらりとする。
(ねー今度月で会おう)
って心の中で思いながら僕は
「家に着いたから切るね」
と言って電話を切った
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公開:18/08/06 00:24
更新:18/08/06 00:25

リョウスケ( 東京 )

1997

例えば、もしも、きっとが好き
全ては振り返ればの話で、
振り返った時それは時間ではなくて瞬間

声に出して読んでほしいです。


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