涙雨

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思えば物心ついた時からいつも一緒だった…
病院の一室、僕が弱気な事を言うと彼女は決まって泣きながら
『大丈夫だよ病は気からと言って気持ちだけは病気に負けちゃいけないんだよ』と励ましてくれた

彼女は歩けるけど僕はベッドで寝たきり
羨ましくもあり、自由に動き回れない苛立ちもあったと思う
僕はいつも弱気な事ばかり言ってしまい、彼女は泣きながらいつも僕を元気づけてくれた

ずっと病院にいるせいか友達は同じ年の頃の患者数人と世話をしてくれる母としか話はしない
本当なら来年は中学生なのに僕はずっとベッドの上
ある時、母が何気なく
『今日もいい天気ね』
と僕に話しかける
僕はベッドから外を見上げまた母に愚痴る
『学校に行ってみたいな』
行けないのは分かってるのに…

すると急に雨が降り出してきた
あの子が空から泣いてるみたいに
僕は窓ガラスに当たる雨を見つめながら
『ごめん』と一言呟いた
青春
公開:18/05/01 00:18

タカ( 千葉県 )

プチコン2海で『帰海』が優秀作に選出されました
また選んで頂ける様に精進中

生粋の秦佐和子さん推しです

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