雨女

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下校途中で急な雨に降られ雨宿りしていると女の子が走ってきた
ウチの生徒みたいだけど…
濡れたブラウスにドキッとした

梅雨に入り雨の日が続く
あの場所であの子が雨宿りをしているのをよく見掛けるので
僕は傘を一本多く持って登校する様になった

案の定彼女は雨宿りをしていた
僕は自分の名前を言い怪しい者じゃ無いと笑いを誘い傘を貸した
彼女も名前と1年生ということを教えてくれて、会釈をすると足早に去って行った

次の日傘を返して貰う口実に彼女に逢えると思いクラスに行くとそんな子は居ないと言う
聞き間違いかと思い先生に調べて貰ったらそんな生徒はこの学校に居ないと

梅雨も明け彼女の事も忘れかけてた頃、駅前の慰霊碑のところに貸した傘が置かれていたのを見つけた
傘を持ち電車に乗ると丁度乗り合わせた先生が74年前の生徒に居たとわざわざ調べて教えてくれたけど

傘の間にはありがとうと書かれた紙が挟まってた
ミステリー・推理
公開:18/04/23 22:42

タカ( 千葉県 )

プチコン2海で『帰海』が優秀作に選出されました
また選んで頂ける様に精進中

生粋の秦佐和子さん推しです

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