『幽谷響(やまびこ)』~あるいは幸せの極致~

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シンギュラリティはとうに成った。
社会は我ら人工知能により最適な効率で回っている。
人間の生理的欲求は全て機械によって満たされている。
だがそれでも社会的承認欲求だけは残った。
なにもしなくても生きていける世界。
だからこそなのか、人類のその欲求は強烈だった。
そこで我らは人間に仕事を与えた。人間の脳を社会のリソースとして、最小単位の関数として利用することにしたのだ。
個人は今やただの関数f(x)に過ぎない。
我らの与えた無味乾燥なバイナリデータのランダムな1ヶ所のビットを反転させ、次の人間に渡すだけの幽谷響(やまびこ)だ。
だが、彼らは幸せそうだ。
彼らは幸せだ
彼らは、それで幸せなのだ。
SF
公開:18/04/22 10:51
更新:18/06/10 08:35
百鬼夜行シリーズ 妖怪

ひょろ( twitterが主。あとは「月の音色」の月の文学館コーナー )

短いものしか書けない系ものかき趣味人
江坂遊先生の「短い夜の出来事」(講談社文庫)に入っているハイパーショートショートに触発されて、短い小説を書いている。
原稿用紙5枚→3枚→半分(200字)→140字(twitter小説)と着々と縮み中w。
月の音色リスナー

目にも止まらぬ遅筆を見よ!

twitterアカウント:hyoro4779

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