願い事は

　願い事？　確かにあるよ。だけど、それはどんなに願っても叶わないとわかっている。

　誕生日だとか、結婚といった記念日はもちろん、ほんの些細な出来事から、つい願ってしまう。

　それは、深い哀しみと悔恨と共にやってくる。

　もっと楽しい話を聞きたかった。
　もっと同じ時間を共に歩みたかった。
　もっと細やかな幸せを共有したかった。
　もっと、もっと、もっと……

　だけど、その願い事の相手は、この世の人ではない。

　蘇りとか、時間の巻き戻し、そんな願い不可能だろ？

　だから、こう願う。遺された人達が、ささやかでもいい、幸せに包まれた日々でありますように。と……

　ランプの魔神よ、これが僕の願いだ。その一つの願いで十分だ。