『七夕の判決』

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織姫と彦星は天の神様の前で言いました。
「神様、いいかげん僕達の願いを聞き入れてください。一年に一度しか会えないなんて辛すぎます」
「確かに、私たちはお互い恋に現を抜かし仕事を疎かにしました。職務怠慢であったことは認めます。でもその罰が何百年も続くのはおかしいです」
「しかも、その罰が降格とか減給とか仕事に関係することじゃなく、プライベートの事だなんて。パワハラですよパワハラ!」
天の神様は二人の勢いに気圧されながらモゴモゴと言い訳しました。
「いや、だってそのほうがロマンスがあるじゃろう......」
「わかりました。ならば司法に決着をつけてもらうことにしましょう」

一年後、”やり過ぎた懲戒にパワハラ認定 織姫彦星勝訴”の文字が新聞に踊りました。
二人は自由に会えるようになったのです。
二人を隔てていた天の川も、その日を境に夜空から消えてしまいましたとさ。
どっとはらい。
その他
公開:18/06/02 20:22

ひょろ( twitterが主。あとは「月の音色」の月の文学館コーナー )

短いものしか書けない系ものかき趣味人
江坂遊先生の「短い夜の出来事」(講談社文庫)に入っているハイパーショートショートに触発されて、短い小説を書いている。
原稿用紙5枚→3枚→半分(200字)→140字(twitter小説)と着々と縮み中w。
月の音色リスナー

目にも止まらぬ遅筆を見よ!

twitterアカウント:hyoro4779

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