烏合の橋

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 七夕祭りのカキ氷屋に、カラスが氷を買いに来た。
 それも一羽ではない。嘴にはそれぞれのお宝……今や懐かしいビールの王冠、虹色のビー玉、ベーゴマ、クリップと、代価の光り物を咥えている。
 どうしたことだい。一番前の一羽に問えば、まだ濁りきらない若い声でアァ! と鳴いて曰く。
 日本では天の川に架ける橋は、白鷺が務めてきた。が、昨今、生息域を広げたカササギがお役目を返せと言い出し、代役ご苦労とまで言われて面白くない鷺達が今年はボイコットを決め込んだ。
 しこたま酒を飲み、風切り羽一枚動かせない有様。カササギ共は吊り橋程度の数しか居らず、そこで止むなく我々が。しかしお役目には白い羽が必要でと言う。
 ならば仕方ないかと、削り落とした氷をカラス達の腹になすりつけてやる。
 その甲斐あってか、星降るというより霜降るような夜空を仰いで、涼しいなぁと、祭り客の誰もが言い。
 氷は、あまり売れなかった。
ファンタジー
公開:18/05/30 17:00

矢口慧( 関西 )

幻想、怪談、時代物。その他諸々、わりと節操なしに書き散らす(自称)小説屋、やぐち・さとりです。

プチコン花に「花水」が選出。
プチコン海に「真珠」が選出。
プチコン七夕に「烏合の橋」が選出。
名作絵画SSコンテストに「カウンセラー」が文春編集部賞選出。
ショートショートは400文字きっちり縛り。

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