『髑髏盃』

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えー、毎度馬鹿馬鹿しいお話でお時間を拝借いたします。
世の中には髑髏盃なんてぇ不気味なものがございまして。かの織田信長公が義弟浅井長政の頭蓋骨を眉の上から切り取って漆を塗って盃にしたなんて伝説が残っております。
さて、ここに二人の大酒呑みがおります。仮に熊さん八っつぁんとしましょう。酒呑み同士気があったこの二人が、今日も今日とて酒を呑んでいると、熊さんこんなことを漏らした。
”どっちかが先に死んだら、死んだ方の髑髏で盃を作って酒を呑もう”。
言霊と言うのは恐ろしいもので、一月もしない内に熊さん、河豚に当たって死んじまった。
慌てたのは八っつぁん。遺志は尊重せねばならんと、熊さんのされこうべで髑髏杯を拵えた。
さて、酒を呑もうと注いだところ、どこからか酒が漏る。ひびも欠けもないのに、ジョロジョロジョロ。
はてと考え、八っつぁん合点がいった。
そう言えば、熊さんは酒に関して笊であったなぁ。
その他
公開:18/02/18 15:18

ひょろ( twitterが主。あとは「月の音色」の月の文学館コーナー )

短いものしか書けない系ものかき趣味人
江坂遊先生の「短い夜の出来事」(講談社文庫)に入っているハイパーショートショートに触発されて、短い小説を書いている。
原稿用紙5枚→3枚→半分(200字)→140字(twitter小説)と着々と縮み中w。
月の音色リスナー

目にも止まらぬ遅筆を見よ!

twitterアカウント:hyoro4779

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