『のびあがり憑き』

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昔、怪しげな占い師にこう言われた事がある。
「あなたには”のびあがり”が憑いていますね」
”のびあがり”とは何の事かと尋ねると、見上げれば見上げるほど背が高くなる妖怪なのだとの答えが返ってきた。
祓ってくれと頼むと、占い師は首を振った。
「現代に行き場を失った妖怪が、人間と共生する道を選んだのです。きっとあなたにいい事がありますよ」
その後は何の変哲もない人生だった。あの占い師に言も単なる口からでまかせだと思っていた。
だが、90歳を過ぎた頃から、のびあがりが私に与えている影響が薄々ながら分かってきた。
のびあがりが、私の寿命を延ばしている。周りの人間が私の長寿を羨めば羨むほどに。
そういえば、今日はテレビ局の取材が来るのだった。
『世界一のご長寿おじいちゃん 160歳 お誕生日おめでとう』とか言う企画だ。
これが全国放送で流れれば、また私を羨む人がでてくるだろう。
私はまだまだ死なない。
ホラー
公開:18/02/05 22:04

ひょろ( twitterが主。あとは「月の音色」の月の文学館コーナー )

短いものしか書けない系ものかき趣味人
江坂遊先生の「短い夜の出来事」(講談社文庫)に入っているハイパーショートショートに触発されて、短い小説を書いている。
原稿用紙5枚→3枚→半分(200字)→140字(twitter小説)と着々と縮み中w。
月の音色リスナー

目にも止まらぬ遅筆を見よ!

twitterアカウント:hyoro4779

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