『3秒の奇跡』

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妻を診た医師が「ご臨終です」と呟いた。
僕は泣き崩れた。
来ることは予期していた。
そう、僕は若干ながら見える方だった。妻の上に何やら黒いもやが三日ほど前から漂ってたのだ。
それでも、悲しみは溢れて止まらなかった。
しばらく経って、漸く涙が渇れ果てた頃、奇跡が起こった。
妻の手が動いて私の頬に触れたのだ。
そして、「あなた、ありがとう。愛しているわ」
はっきりした声でそう言った。
しかし、奇跡は時間にしておよそ3秒。妻の手はまた力なくベッドに落ちたのだった。


死神の始末書:
魂を運んでいる最中にうっかり落としてしまいましたが、3秒以内に拾ったのでセーフだと思いました。
その他
公開:18/03/29 22:39

ひょろ( twitterが主。あとは「月の音色」の月の文学館コーナー )

短いものしか書けない系ものかき趣味人
江坂遊先生の「短い夜の出来事」(講談社文庫)に入っているハイパーショートショートに触発されて、短い小説を書いている。
原稿用紙5枚→3枚→半分(200字)→140字(twitter小説)と着々と縮み中w。
月の音色リスナー

目にも止まらぬ遅筆を見よ!

twitterアカウント:hyoro4779

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