『花代』

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え~、この度も一杯のお運びでありがとう存じます。
江戸の昔に吉原てぇ所がありまして、そこでは時間を線香で計って花代、つまるところ料金を取っていたんだそうですな。線香一本でいくらてぇな具合で。
しかしどこの世界にも鼻曲がりとうものはおりまして、これを先払いにした見世が一軒だけあったそうで。当然客とは揉める。
「何で先払いなんでぇ。線香で数えんのが吉原(なか)の決まりじゃねぇのかい!」
「へぇ、うちはそうはなっておりませんで。もちろん線香でも計りやす。過ぎた分はお帰りの際に頂く、足りない分はお返しするという形で。まあ、兎に角先に頂戴致しやす」
「けっ、面倒ったらありゃしねぇ。楼主、それじゃ江戸っ子の名が泣くぜ」
「とは言いましても、花代は先行(線香)でと決まっておりやす」
その他
公開:18/02/27 22:41

ひょろ( twitterが主。あとは「月の音色」の月の文学館コーナー )

短いものしか書けない系ものかき趣味人
江坂遊先生の「短い夜の出来事」(講談社文庫)に入っているハイパーショートショートに触発されて、短い小説を書いている。
原稿用紙5枚→3枚→半分(200字)→140字(twitter小説)と着々と縮み中w。
月の音色リスナー

目にも止まらぬ遅筆を見よ!

twitterアカウント:hyoro4779

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