海賊王に、俺はなれない

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「ぼく、次あれがいい!」
 そう言って息子が指差す先には、大きなバイキングがある。大丈夫かな?妻と横目で語り合う。
「坊や、坊やにまだあれは早いよ」
 そう言うが、息子は聞く耳を持たない。それどころか、俺まで誘われてしまった。妻にはここで待ってもらって、しかたなくバイキングへと向かう。

 息子はうまくやった。笑い声をあげ、楽しそうだ。
「俺の方は……」
 俺の方は、全然。だめだめだった。

「聞いてママ!パパってね、すっごく下手なんだよ、アイスクリーム作るの!」
 右に左に行って高さを稼げなかった俺のアイスクリーム。息子が作ったアイスクリームが、まるで富士山のように神々しく見えた。
公開:24/04/19 11:33

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