筆の先で

0
1

 長く伸びた川が、静かに流れていた。六本の柱は、水面から空に向けて立っている。石造りの表面に、緑の苔が張り付いていた。

 支えられた橋。先に見える稜線。生い茂る緑。佇んでいた男が、前に踏み出す。

 ──硬い靴音が響いた。

 風が山に飲み込まれ、還って来る。

 ざわめき、囁いて。

 中央まで歩を進め、脚を止めた。
 顔を横に向け、景色を。

 山脈。
 蒼空。
 流水。

 全てを描いた。柔らかい穂先で。
 耳を澄ませ、頷く。

 渡り終えて振り返る。
 橋の手前で、男が佇んでいた。

 ──硬い靴底が鳴る。
 
 色彩が降り注ぎ、暖かく写した。

 ────光景を。
SF
公開:26/03/28 20:00
更新:26/03/28 20:02
創作 詩的掌編 現実との境界

shige5964

哲学的な掌編を書いています。ブログに作品を置いてますので、ご興味があればこちらも是非。
https://baseman0406.blogspot.com/?m=1

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容