重なる景色

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 飛び跳ねて、水溜りを避けた。緋色の雲間から注がれる、暖かい温度。立ち止まり、水面を眺めて。

 子供がいた。麦わら帽子を被った、少年。しゃがんで、覗き込む。

 同じように、覗き込む。

 突風が頭を掠めた。鍔を押し上げ、浮き上がり、回転する。二つ、飛んでいく。目で追いかけ、呟いた。

「君の帽子も、なくなったね」

 語りかけた。僕が同じように。太陽と水面が、映す。

 視線が合う。
 瞳の中に、沢山の僕がいた。

 ──帽子、幾つあるんだろう?

 遠くから呼ばれた。近付く足音に、振り返る。

「汚れちゃったね」

 濡れた麦わらを、差し出された。アスファルトの匂いがする。水と、太陽の匂いが。頭に被せた。

 私と同時に。

 手を繋いで、前を向く。

 ────二つの影。重なり、伸びて。
SF
公開:26/03/31 21:17
更新:26/03/31 21:41
過去と現在 重なる時間

shige5964

哲学的な掌編を書いています。基本Show Dont Tellです。ブログに作品を置いてますので、ご興味があればこちらも是非。
https://baseman0406.blogspot.com/?m=1

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