オバケレインコート

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今日も私は歩く。
いつものオバケレインコートを着て。

歩く、歩く。

降り注ぐ、冷たい言葉。
刺すような言葉。

どこの誰が呟いているのか私は知らない。

でも、私にはオバケレインコートがあるから平気。
私の上を、レインコートのビニールの上を、それは滑り落ちていく。

溜まったそれに、バシャンと飛び込んだ。
散り散りに飛び散っていく言葉たち。

さよなら、さよなら。

次に生まれてくる時は、虹を生む言葉になれるよう明るく手を振る。

理不尽な要求。
理不尽な言葉が私に降り注ぐ。

でも平気。
だって私はオバケレインコートを着てるから。

レインコートのおばけが私の代わりににっこり笑う。
無意味なすみませんも、皆、おばけが言ってくれる。

中の私は何一つ濡れていない。
だから大丈夫。

「……大丈夫?」

その言葉に顔を上げる。
言葉の傘が差し掛けられる。

レインコートの下が涙で濡れた。
公開:24/04/20 17:03

ぽんず

ぽんずとかねぎとか薬味と調味料。
(整理したSSはNovelDaysにあります)
http://lit.link/misonegi

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